保育所等訪問支援事業とは

保育所等訪問支援は、児童福祉法(昭和 22 年法律第 164 号)第6条の 2 の 2 第5項に位置付けられた第2種社会福祉事業で、平成 24 年の児童福祉法改正で創設された新しいサービスです。
児童発達支援や放課後等デイサービスと同じ「障害児通所支援」の一類型です。

児童福祉法 第6条の2の2第5項

この法律で、保育所等訪問支援とは、保育所その他の児童が集団生活を営む施設として厚生労働省令で定めるものに通う障害児につき、当該施設を訪問し、当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援その他の便宜を供与することをいう。

申請者と対象児

(1)申請者は保護者です

保育所等訪問支援を利用するには、保護者が保育所等訪問支援にかかる給付費支給申請を市町村に行う必要があります。
つまり保護者が必要性を感じていることが、この支援を利用するための条件の一つとなります。と同時に、子どもと並んで、支援を利用する主体者でもあるということになります。
子どもが通っている保育所等の施設から申請を行うことはできませんので留意が必要です。
施設が支援の必要性を感じられた場合には、保護者と相談の上、利用を提案することも考えられます。
保護者の理解を得られない段階においては、別事業の巡回指導・相談や「障害児等療育支援事業」(都道府県等で行う「地域生活支援事業」に位置付けられています)を活用して、施設支援を受けながら対応する方法もあります。

(2)利用者は保育所等に通所していて、集団生活に専門支援が必要な子どもです

保育所等訪問支援の対象となる子どもは、児童福祉法第 4 条第 2 項に定める「障害児」であり、
①保育所等の施設に通い、
②集団での生活や適応に専門的支援が必要である子どもです。

なお、「障害児」の認定にあたっては医学的診断や障害者手帳の有無は問いません。

必ずしも申請時に集団不適応を起こしていなければいけないことはなく、特性等に応じた配慮がなければ不適応を起こす可能性のある子どもも対象です。
児童発達支援や放課後等デイサービスの通所支援を現在利用している子ども(いわゆる「並行通園児」)だけでなく、過去に通所支援を利用していた子どもや通所支援を利用したことのない子どもも対象になります。

訪問支援の場所

保育所等訪問支援の訪問先は、児童福祉法で「保育所その他の児童が集団生活を営む施設として厚生労働省令で定めるもの」と定義されています。厚生労働令(児童福祉法施行規則)で定めるものとは、保育所、幼稚園、認定こども園、小学校、特別支援学校、その他児童が集団生活を
営む施設として市町村が認める施設
となっています。「市町村が認める施設」としては、放課後児童クラブや中学校や高校などが想定されますが、市町村は地域の実情に応じて子どもの最善の利益を考慮して認めることが大切です。

なお、平成 30 年 4 月からは「乳児院その他の児童が集団生活を営む施設として厚生労働省令で定めるもの」が追加されることになっており、乳児院や児童養護施設も訪問支援を提供できることになっています。

指定基準

人員配置基準

保育所等訪問支援事業所には、管理者、児童発達支援管理責任者、訪問支援員の配置が必要になります。
なお、これらのすべてを一人の職員が兼務することはできません。

設備基準

保育所等訪問支援を行うための相談室などが必要です。
都道府県の指定を受けるためには、事業の運営を行うために必要な広さを有する区画を設ける必要があります。具体的には、受付や相談室、事務室などです。
ただし、運営に支障がなければ他の事業と兼ねることも可能です。

児童発達支援や、放課後等デイサービスの事業と、人員・設備共に共用して活用することが可能です。
自施設の利用者も対象児になります。(ご利用はあくまで保護者申請。)

報酬体系

基本部分・保育所等訪問支援給付費 916 単位
加算・減算・専門職員が支援を行う場合(訪問支援員特別加算) +375 単位
・通所支援計画が作成されない場合 ×95/100
・一人の訪問支援員が複数の障害児に支援した場合 ×93/100
・児童発達支援管理責任者専任加算 +68 単位
・特別地域加算 +15/100
その他・利用者負担上限額管理加算(月 1 回を限度) +150 単位
・福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ〜Ⅳ)

児童発達支援や放課後等デイサービスとの相性

療育施設との相性

既出のとおり、児童発達支援放課後等デイサービスとの相性は抜群です。
人員や設備を共用できる他、既存施設の利用児に対してもサービスを提供することが可能です。
事業収入を増加させることが見込めます。

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